2011/08/11

生茶スパークリング

仕事中に雑談というのはよくあるのだが、弊社は社員の大半が女性なので、雑談の内容が新しいiPhoneの話になることはほとんどなく、大抵は美味しいものだったりするわけなのだが、今日は「生茶スパークリング」が話題になっていた。

「生茶スパークリング」とは、「炭酸が入ったほんのり甘い緑茶」という清涼飲料水だ。

これだけ書くと相当マズそうだし、事実自分は発売されてすぐに「どのくらいマズいんだろう〜」とかなり期待して飲んだのだが、実際飲むと、もちろんマズいの範疇には入るのだけど、予想以上にマズくはなく意外と飲めてしまう。そこが心から不満だし残念であったと、今日は皆に告げた。

そんなこともあって、「生茶スパークリング」について色々考えていた。
もし自分がキリンビバレッジの新商品販売に関する意思決定権を持つ人間だとして、この「生茶スパークリング」にGOを出しただろうか。仮にGOを出すとしたら、どのような考えに基づいて、発売するのだろうか。

真っ当に考えると、清涼飲料水は購入習慣を作って、毎日継続して飲んでもらいたいと考えるだろう。主戦場の売り場であるコンビニは競争が激しいため、売れないとすぐに下げられ売り場を失ってしまう。そういった意味でも、継続して一定数売れ続けることは、とても重要だ。
だが、「生茶スパークリング」は飲んだ時点で、こちらの路線(毎日継続して飲まれる商品)は厳しいのではないかと思われる。
とすると、「生茶スパークリング」は何のために存在しているのか。
定番飲料じゃなくとも、話題になってみんな(数百~一千万人単位)が1回ずつ買えばいいっていう考え方なのか。
こんなことをダラダラ考えている暇は無いし、答えが分かるわけではないのだが、こういう見えない意図を探るのはとても面白い。

自分が商品開発をやってる立場から言えるのは、新規性やインパクト、ある種の「アクの強さ」が無いとやっぱり市場では生き残れない。だからこその販売戦略なんだろうと思う。

最初は「なんだコレwwww」とか思ったものが、いつの間にか市民権を獲得して、社会の中で当たり前になっているものは結構ある。
例としてふさわしいかは分からないが、例えば「仮面ライダー」。毎年新しい仮面ライダーがその関連商品と共に登場するが、最初は「なんだコレ」と思うデザインだったり変身ポーズだったりする。しかし1年経ち番組終了を迎えるころには、すっかり慣れて「当たり前」のものになってしまっている。

身の回りのものの「当たり前になってしまった、なんだコレ」を探してみると良い。
きっと当たり前になる過程で行われた、定期的な接触と、それを行わせるためのファーストインパクトを生み出した、綿密なコミュニケーション戦略を読み取ることができるはずだ。