2011/08/27

間もなくこの番組は終了です。

週末の夜は大抵作業をしている。まとまった時間が唯一取れるタイミングだからだ。

作業をしているときには、多少の喧騒の中の方がはかどることを発見したので、TVをつけている。大抵は録画しておいた番組やDVDだったりするのだが、今日はBSのあるチャンネルを流していた。
そこでは通販番組を延々とやっており、内容には全く興味がなかったので当初の意図通り、ノイズとして放っておいた。

ところがしばらくすると、紹介をしていた司会?が言った言葉がついつい気になって、作業を止めてしまった。

「間もなくこの番組は終了です」

唐突に発せられたこの言葉に、驚きを隠せなかった。
ふつうテレビ番組の中で「もうすぐ終わります」なんて言っているのは聞いたことがない。

「長々とすいません、もうおわりますから、もうちょっとだけ我慢してください」なのか
「もうこの商品の申し込み終わっちゃうよ?買えなくなっちゃうよ?急いで!」なのか

まあふつうに考えたら、後者だろう。

終わり(期限)を告げることで「希少性」を高め、購入へのプレッシャーを煽るというのは、人間の心理を突いた技術の一つだ。
ロバート・B・チャルディーニ著「影響力の武器」でも1章を割いて「希少性」について語られている。

つまり、人はその「モノ自体の機能」が欲しいと思っていなくとも、「もう手に入らなくなってしまうモノ」を欲しがることがあるのだ。

通販番組やカタログは、このような人間の心理を突いた広告技術のオンパレードなので、広告業界ひいてはコミュニケーションということに関心のある人達は、
メディアに持て囃される「クリエイティブな広告」より、こういったものを見ながら「何に自分の心が操作されようとしているのか」を見つめると広告の本来の目的や意義、効果について考えるきっかけが得られると思う。