2011/08/31

コピーは劣化する

会社で広告のラフを作るために、コピー機でコピーをとったり、コピーのコピーをとったりしていた。
出力された書類を眺めていると、当たり前のことなのだが、オリジナルよりコピー、コピーよりコピーのコピーの方が、劣化していた。

当たり前のこと?
なぜこのようなことが起こるのか。
コピー機のメカニズムについて簡単に調べてみると、「帯電」→「露光」→「現像」→「転写」→「定着」という6つの工程でなっている。
ざっくり書くと、画像に合わせてマイナスの電荷を帯びさせ、プラス電荷を帯びたトナー粒子を吸着し、紙に定着させている。
(詳しくはここに分かりやすく書かれている。http://www.fujixerox.co.jp/company/saiyo/2012/goods/skill/ )

そこで、10回ほどコピーを繰り返し、劣化の度合いを確認して見ることにした(画像)。
 
画像を見て分かると思うが、世代を経る毎にバラバラに劣化するのではなく、
一画目の書き出し部分のように、早い世代から劣化の兆候が見えた部分が際立ってくる。それでも文字の輪郭線はしっかりと残っているため、「あ」であることは失われない。

もちろんこれは、コピー機個体毎の特性(フタがきっちり閉まらない、感光部分の設定など)で変化する要素でもあるのだが、「世代を追う毎に劣化部分が際立ってくる」というのはとても面白い発見だった。

情報には特性があって、劣化し易い部分と、劣化してもなお堅牢に保持される部分がある。これは、以前紹介した"Dora Error"でも触れていたことだが、改めてこういった人間を介さない場合で視覚的に示されると、とても興味深い。
まだ試みてはいないが、おそらく伝言ゲームのようなものでもこういった劣化の特性は現れてくるだろう。

情報の劣化の特性を知ることで、「あえて劣化させる」もしくは劣化というプロセスをわざと経て、「堅牢な情報の骨格部分だけを取り出す」という新しいビジュアル表現の方法が有り得るかもしれないと思っている。