僕は数学が好きだ。決して得意ではないが、好きだ。
教科書を読んでいると、新しい概念(世界の見方)が次々に、明確に定義された形で出てくるのは本当に興奮する。
テストで良い点を取るより、こういった概念を味わい、理解する事が本当に重要だったし、喜びだった。
その、一番最初は、小学校の時に知った「二進数」と中学の頃に教わった「余事象」だったと思う。
二進数は、0と1だけで数が表現できてしまうというアイデアに、ただただ興奮していた。
小学生の頃答案の裏に、テストの余った時間で50までの数を二進数でみっしり書いたことは今でもはっきりと覚えている。
今思うと、あれは本当に幸せな時間だった。
ルールを厳格に守りながら、頭と手で黙々と、自分が機械になったかのように変換作業をする。その時は他のことは全く考えず没頭していた。
図画工作の時間以外でハマって熱中するのは、始めての経験だった。
余事象を知った時は、自分の「ものの見方」が変わった瞬間だった。「ある事を知るために、ある事で無い事を知る」という余事象の考え方は、
「意識してものの見方は変えられる」という視点を始めて教えてくれた。
こういう事を知った時に、自分は生まれたんだと思う。特定の映像や音楽、表現に触れて感動する以前に、(数学的な)概念に触れて感動していた。
子どもの時のファーストインパクトは、やはり現在の自分に大きな影響をもたらしている。
いつもこんな事を思い出しながら、子どもの未来に関わる仕事をしている自分の気を引き締めている。