2011/08/29

レイアウトという概念

ここ数年「レイアウト」という概念について考え続けている。
この言葉を「世界の情報を再構成することで、全く新しい価値を生み出す概念」として再定義することで、新しい可能性が見えてくるのではないかと思っているからだ。
正確に言うと、「生み出す」という言葉より「見い出す」と言った方が近いかもしれない。
既にこの世界には存在してるのに、まだ誰にも発見されていなかったり、意識されていないような関係性を見つけ出そうとしている。


上の画像は、通勤途中に撮影した道端の写真だ。
普段バラバラに置かれている状態が「自然な」ゴミが、整理整頓されている。
ゴミがゴミでなくなり、とても「キレイなもの」に見えてくる「異常な」状態だ。
「異常な」状態は「自然」には起こらないので、こういうものを見ると、誰かの意志(メッセージ)を感じてしまう。

レイアウトを操作しキレイに並び替えることで、ゴミは新しい価値を与えられたメディアに変質する。
下の画像は集めたゴミを種類別に仕分けられた写真だ。1枚目より明確な目的と意志を感じる。


レイアウトを変更することによって生まれる価値を、表現の主眼に置いているアーティストもいる。




上の二つの画像はデッキブラシやモップの配置を操作することで、全く新しい美しさを獲得している、Michael DeLuciaの作品だ。
ここでは紹介しないが、冨井大祐( http://tomiimotohiro.com/selectedworksj.html )もレイアウト変更による新しい価値を提示している素晴らしい作品を数多く制作している。

これらの作品に自分が強く惹かれているのは、発想や物の見方が、とても純粋な形で抽出されているからだと思う。価値が生まれる瞬間は、最も尊い瞬間の一つだ。