2011/08/21

基準を変える

日々の重要な仕事の一つに分析、つまり様々なデータから新しい関係性や事実を見出して仮設を立て、検証をするというものがある。
データを精査していく作業自体は、論理的な思考に基づいて行われるので、大卒程度の論理的思考力を有していればそんなに難しいことではない。
この時肝になるのは、どの点に着眼してデータを見るかという視点だ。
一見関係無いようなデータの裏にある新しい関係性を見つけることで、誰も考えたことのない商品開発に近づくことができる。

例えば、新しい子ども用の傘を考える時に傘のことだけ考えるのでは無く、雨の日の子どもの交通事故率や防犯ブザーの普及率、平均的な通学の距離など組み合わせてデータを見ていくといったようなことだ。

こういった事を考えていたり話したりすると、「そんなの難しく思いつかないしできない」といった声をよく聞く。
「違った視点からものを見る」というのは様々な場面で要求される能力だが、その割にはこれほど「生まれ持った才能やセンスが必要」と思われがちな能力も珍しい。

これは何度も言うし書き続けていくが「視点を変えてものを見る」能力は、後天的な学習によって獲得する能力だ。私たちは「視点の変え方・ずらし方」を学ぶことで、様々な物事にも応用することができるようになっていく。

例えば、以下の写真を見て欲しい。


これは、赤青鉛筆が並べられた写真だ。ただし、並べる際に赤と青の境界を中心に並べている。
このように並べると、赤と青それぞれの減り具合を比較することができる。
また、並べる基準を鉛筆の先端に変えれば、今度は鉛筆全体の長さを比較することができる。

「長さ」という同じ尺度だが、基準(0ポイント)を変えてものを見るだけで、これだけ得られる情報の質が変わる。

大事なのは、「ああ、違う視点でものを見てる!!」という事例を見つけたら、どのように基準をずらしているのか、よく観察することだ。観察した上で、同じようなずらし方を他の事にも応用できないか試してみる。観察→収集→実践の繰り返しで、一つずつ身につけていこう。
一長一短で身につけることは難しいかもしれないが、ただ憧れたまま人生を浪費するより、よっぽど有用なはずだ。

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ハッキリ言ってこれだけでは何の役にも立たない。具体的な事例と結びつけた時に効力を発揮するものだが、
最後にブレインストーミングの考案者である、A・F・オズボーンによる発想のためのチェックリストをつけておこう
●転用したら?→現在のままでの新しい使い道は?
●応用したら?→似たものはないか?真似はできないか?
●変更したら?→意味、色、動きや臭い、形を変えたらどうなる?
●拡大したら?→大きくする、長くする、頻度を増やす、時間を延ばすとどうなる?
●縮小したら?→小さくする、短くする、軽くする、圧縮する、短時間にするとどうなる?
●代用したら?→代わりになる人や物は?材料、場所などを代えられないか?
●置換したら?→入れ替えたら、順番を変えたらどうなる?
●逆転したら?→逆さまにしたら?上下左右・役割を反対にしたら?
●結合したら?→合体、混ぜる。合わせたらどうなる?